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沼地のある森を抜けて

 

沼地のある森を抜けて

沼地のある森を抜けて

 

 叔母の死によって受け継いだ、先祖代々のぬか床。そこから現れた卵と、卵から孵った男の子や女。かつて母が持っていた過去にも、ぬか床から出てきた人がいた記憶がよみがえる。そして、久美は、男であることを嫌悪してやめた微生物研究者の風野とともに、ぬか床のふるさとに向かう。生き物が生まれるということ。細胞分裂から有性生殖になった歴史をファンタジーとして描いた作品。性と生活の臭いのしない主人公が、こうした物語に巻き込まれていくというのも作者の迷い?