- 作者: デイヴィッドウォリアムズ,クェンティンブレイク,David Walliams,Quentin Blake,久山太市
- 出版社/メーカー: 評論社
- 発売日: 2015/10/28
- メディア: 単行本
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路上生活をしているクサイさんは、そばにいるだけで鼻がおかしくなるほどくさかった。だからみんなはクサイさんがそこにいるのに居ないことにしているかのように無視をしている。そんなクサイさんに、主人公クロエは話しかけることから物語は始まる。クサイさんは、クロエの抱えている学校の問題、家庭の問題を聞いたり、クロエの創作したお話を聞いてくれる友達になる。やがて、クサイさんを自宅に住まわせることから、大変な事件が起きて・・・
私はこういう児童書の中で登場する、「責任のない大人」の登場が、子供たちを救っているんじゃないかと思ってしまう。
親も先生も子供たちに対して責任があるので、だからこそ厳しい現実と向き合うために、時として子供の意思を無視してしまうことが多い。その点、「責任のない大人」は子供に対して距離感を置きつつ、しかし親身に子供の声に耳を傾けてくれる。クサイさんはまさにそういった大人なのだ。もう一人、雑貨屋の店主もクロエにとっての「責任のない大人」であり、よき助言をする存在である。(多少商魂たくましすぎるが・・・)著者の作品で「ドレスを着た男子」でも、こういった雑貨屋の主が登場していた。
思えば、今の子供たちってこういう自分にとって責任のない大人が近くにいないんだろうな~
物語としては、クサイさんが実は貴族だったとか(このオチ必要かな?)、クロエのママがいきなり改心するとか展開が唐突すぎて後半が入り込めなかったけれども、物語の語り口がシニカルでユーモアたっぷりなので、これはこれで・・・と妙に受け入れてしまう。