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児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ハーレムの闘う本屋 ルイス・ミショーの生涯(2016 課題図書 高校生)

 

ハーレムの闘う本屋

ハーレムの闘う本屋

 

ルイスは祖父の兄という著者による、ノンフィクションの色彩が強いフィクション。白人の下で働くのではなく、自前の店を立ち上げた父のもとで、ルイスは問題児として育つ。白人は自分たちから搾取しているとして、盗みを繰り返す。兄のライトフィトは、信仰心が篤く、母にも期待され、アメリカ屈指の名伝道師として名をあげていくが、ルイスは賭博やいかがわしい商売で摘発される。だが、ニューヨークのハーレムで、兄の仕事を手伝ううちに「黒人の本を置く本屋」の開業をもくろむ。銀行には相手にされず、たった5冊の本からスタート。だが、街中での行商をはじめ、話の巧みさと情熱で徐々に本屋を育てていく。黒人のための黒人の本の専門店として、マルコムXをはじめ黒人の活動家や作家、詩人などが出入りし、店の前の演説台では、ミショー自らを含め、さまざまな黒人たちが演説をおこなった。本を読まなければ奴隷のままだ、という信念はゆるがない。マルコムXやキング牧師が次々と暗殺される時代の中で、アメリカを自分の国とする黒人としてどう生きるべきかを本を読みながら考え続け、周りにもそう仕向けた一人の男。まるで司書のように、棚ぞろえや、相手に薦める本を選び、本を通して影響を広げていった。さまざまな人物のインタビューで構成した体裁は、読みやすいとは言えないが、黒人の人権運動史が徐々に理解できる手助けにもなる。最後、街の開発の名のもとに、書店は移転させられ、本人が高齢になったこともあり閉店にいたる。政府が本屋を恐れたことが原因とも言われるが、そのこと自体が、この書店のすごさをおもわせる。これだけの仕事を、今の図書館はしてるだろうか? 

面白かったが、これを読みこなすのは、明らかに読書力が必要。チャレンジする方は、そのつもりで!