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黄金の七つの都市

 

黄金の七つの都市 (岩波少年少女の本 41)

黄金の七つの都市 (岩波少年少女の本 41)

 

 サンドバルは牢に入れられている。王の財産を横領したためだ、財産というのは、彼が南米にある伝説の黄金都市から持ち帰ったおびただしい黄金だ。牢番は彼に親切だ。黄金の情報がほしいから。そして彼は、自ら有罪を認める。いったい何があったのか? サンドバルの回想と裁判の様子が交互に語られる。誰もが黄金に取りつかれていく中で、彼の野心は未知の都市の地図を作ること。その野心ゆえに、メンドーサ隊長とともに、本隊を離れてしまう。道案内と通訳を務める現地の娘シアと、フランシスコ神父も金の欲望には無縁だが、神父には熱狂的な布教の情熱に突き動かされている。その道行に、はたして何があったのか? 裁判の進行とともに徐々に明らかにされる真実がドキドキさせてくれる。隊長の死により独占できるチャンスの前にして金に取りつかれるサンドバル。シアに去られ、フランシスコ神父の死を経験して、ついに金を捨てる決意をしていくクライマックスがいい。あえて刑に服すことを選びますが、牢獄をでても20歳!!。当時はみんな若くして事をなしたのですね。地味ですが、まさかの面白さ。もっと読まれるとうれしいのですが。