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わたしが子どものころ戦争があった

 

わたしが子どものころ戦争があった―児童文学者が語る現代史

わたしが子どものころ戦争があった―児童文学者が語る現代史

 

神沢利子森山京あまんきみこ三木卓角野栄子三田村信行那須正幹岩瀬成子という8人の児童文学者の聞き書き。正直、児童文学者だから体験が稀有ということはないと思った。通常の戦争体験の手記だと、特に過酷な体験者のものが多いが、それに比べるとさほど悲惨ではない。ただ、だから感じ方がそれぞれで面白いところがある。特に三田村は、みんながまずいまずいといっている戦時中の食べ物を「おいしかった」と言っているが、実際そう感じた子もいたのではないかと思う。岩瀬は敗戦後に生まれた世代だが、基地の街という特異な立地もあり、今も戦争が続いていることを見つめている。日常と戦場は地続きである恐ろしさが、一番忘れてはいけないことかもしれない。