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ハートソング 作曲家アントニオ・ヴィヴァルディとある少女の物語

 

ハートソング―作曲家アントニオ・ヴィヴァルディとある少女の物語

ハートソング―作曲家アントニオ・ヴィヴァルディとある少女の物語

 

 ヴィヴァルディは、実際に孤児を助け、音楽で身を立てる助けもしていたという実話に基づいた創作。生後半年で捨てられたラウラは、まずは田舎の里親に預けて育てられ、8歳で孤児院の集団生活に入る。ラウラは、話すことができない。だが、リコーダーをもらい、演奏を自分の声とする。捨てられる孤児は女の子が圧倒的に多いという。幸運にも親が迎えに来てくれた子、こっそり孤児院を抜け出して見つけた恋人との結婚が決まる子、常に暖かいヴィヴァルディの人柄などよくまとまっているが、最後、ラウラが母親と出会ってハッピーエンドというのは、ちょっと唐突な気がした。挿し絵もきれいで、これを活かすために横組みにしてあるが、字組や文字デザインがあまり読みやすい感じがしない。本を開いて、その雰囲気で読むのをやめる子もいるかも。