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肥後の石工

 

肥後の石工 (岩波少年文庫)

肥後の石工 (岩波少年文庫)

 

 肥後の石工岩永三五郎は、薩摩で石橋工事を成し遂げた、だが、石橋の秘密(要石を抜けば崩れる)をもらさないため、石工たちは殺される。本来なら殺されるはずの三五郎だが、刺客の仁が、旅の途中でも石を調べる三五郎の人柄に打たれて身代わりに乞食を切る。三五郎は、乞食の子の里と吉を引き取ろうとするが、里は反発して吉とともに飛び出した。一人で帰ってきた三五郎を見る目は冷たかったが、山の人々のために橋を架ける難事業を引き受けたことをきっかけに、かつての仲間の息子宇助などが戻ってくる。さまざなな困難に見舞われながらも、技術の継承に尽くした三五郎の物語で、史実に取材をしているようだが、それにしても他国の工人を全員殺すなど、本当にお殿様でもできるのか? また、一人で帰ってきて村でうけいれられるか? 里と吉の運命も、盲目になった里が子どもと遊んでいるのを三五郎が見つけるが、買われた里が、なぜ遊べたのなど、物語をつくるために都合よくしているような感じが納得いきませんでした。若い日の作者の習作ゆえでしょうか?