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化学のドレミファ

 

化学のドレミファ〈1〉反応式がわかるまで

化学のドレミファ〈1〉反応式がわかるまで

 

 著者まえがきによれば初版は1960年代なかばだったよう。ひとしくんは、自動車が作りたくて、部屋で爆発実験をしてしまうような男の子(たぶん中学1年)。高校生のお姉さんの運動会に行ったとき、校舎を除くと、[化学研究室]につい入り込み不思議なドルトン先生と出会う。水50㎎とアルコール50㎎を足しても100㎎にならない謎から始まり、化学の世界に入っていく。お姉さんも加わり、原子、分子、そしてそれらの反応、「混合物」と「化合物」の違いなどに進んでいく。会話形式で、読み手に考えさせる形式を1960年代に行っていたというのは、かなり先駆的ではないかと思う。実験をやったり、無重力体験をするファンタジックな世界を提供したりと面白いが、ビジュアルに慣れた今の子どもたちが、根気よくこれを読んでくれるかは、なかなか微妙かも。最後にドルトン先生は姿を消すが、自学自習こそ学習の基本であることを語る。それこそが、現代難しいことかも。