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ホイッパーウィル川の伝説(2017 中学校 課題図書)

 

 

ホイッパーウィル川の伝説

ホイッパーウィル川の伝説

 

 姉のシルヴィは、ジュールズにやさしい。でも、すぐに一人で走り出してジュールズを置いてきぼりにする。かあさんは、死んでしまったけど、とうさんは優しい。近所のサムは、二人の真ん中の年齢。シルヴィ12歳、サム11歳半、ジュールズ11歳で仲良しだ。サムの兄さんのエルクは、無事に戦争から帰ってきたけど、一緒に行った幼馴染の親友ジークが帰ってこられなかったことに傷ついている。その日、行ってはいけない川の沈みどころ(川が地中にもぐる急流)に、シルヴィは願い事の石を投げるために走っていって、つまずき、川に呑まれてしまう。同じ日、キツネの女の子の赤ん坊に、魂がやどる。さまざまな願い事、大切な人を失った悲しみ。転生する魂のイメージなどが美しい。だが、かつて妻を失い、娘を失ったお父さんが耐えて、もう一人の娘を守ってる姿が一番すごく見えてしまうのは、親の視点かも。