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アラスカを追いかけて

 

アラスカを追いかけて (STAMP BOOKS)

アラスカを追いかけて (STAMP BOOKS)

 

 読書好きで友人がいなかったマイルズは、寄宿学校に転校して新生活を始める。同じ部屋の“大佐”は、母子家庭だが奨学金で入学した、頭がいい皮肉屋だ。そしてアラスカがあらわれる。気分野だが次々といろいろなことを思いつく魅力的な女の子だ。もちろん、ラブラブな彼氏がいるが、マイルズにもラーラという女の子を紹介してくれる。時に激しく落ち込むアラスカ、彼女は9歳の時に母親を目の前で亡くしていた。恐怖のあまり、とっさに救急車も呼べなかった激しい悔い。そしてある日、アラスカは、とつぜんあわてたように寮を飛び出し、自殺のようにパトカーに突っ込む事故で死んでしまう。アラスカはなぜ死んでしまったのか? 自殺だったのか? 突然の死を受け止めきれないまま、大佐とマイルズは調査をはじめ、真相にたどり着く。酒を飲み、タバコを吸うけど、勉強も一所懸命という、健全な若者たち! 内気だけど繊細な主人公が、天才気質でエキセントリックな異性(もしくは友人)にふりまわされるというのは、青春小説の定石だけど、素直に切なく響いてくるのは、作者の才能かも。