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ばあばは、だいじょうぶ(2014 低学年 課題図書)

 

ばあばは、だいじょうぶ (絵本・ちいさななかまたち)

ばあばは、だいじょうぶ (絵本・ちいさななかまたち)

 

 冒頭「学校からかえると、まず、ばあばのへやにいく。」という文章からはじまるが、ここは、素直に「つばさは」という主語から入って欲しかった(絵でわかれということ?)、という感じ。テーマは認知症だけど、認知症の発症シーンも「はじまりは、犬のココのおやつ」と、いきなりだけど、ここも素直にこの後の「ママがくびをかしげた」の方を先にして、異変だと知らせた方がわかると思う。つい甘やかして犬におやつをあげすぎちゃうって誰でもあるし。ただ、認知症になったおばあちゃんに冷たくしちゃったけど、反省したというテーマ性が強いので、感想文は書きやすいかもしれない「私でも冷たくしちゃうかもしれない」などとね。一方、いかにも書きやすそうなので、これで高いレベルの作品を書くのは、リアルな体験のある子とか限られそう。著者は、認知症の母に冷たくしたのを反省してこうした作品を書いたようだが、認知症を怖いと感じてしまうのは、特に小学生なら当然の反応というところもあるから、怖がり、優しくし、でもまた怖がり、という揺れがあった方が、実際に体験した時の手掛かりになるのでは? と、なんとなく全体に消化不良・・・