児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

空にむかってともだち宣言(2017 小学校中学年向き 課題図書)

 

空にむかってともだち宣言

空にむかってともだち宣言

 

 母子家庭のあいりの隣のアパートに引っ越してきたのはミャンマー人の一家。同い年の女の子ナーミンとその双子の弟がいて、母親や、母の友人のゴンさんからも面倒をみるよう頼まれる。さっそくなかよくなるが、学校が始まるとクラスの男の子たちが、ナーミンの名前から「難民!」とからかう。実はナーミン一家は、本当に難民だった。だが、先生とゴンさん(実は難民支援をしてた)が難民のことをきちんと説明してくれ、ナーミンが、新聞記者の父が逮捕されて暴力をふるわれたことを話すと、みんなは驚いてしまった。あいりは、ミャンマーのイヴェントに遊びに行き、思いがけず「なかよし大使」に選ばれて感激する。そしてクラスは、学校の発表会でミャンマーの民族バガンダンスを踊ることを提案。踊りは大成功。あいりは、いつまでもナーミンと友達でいると宣言する。これも難民問題をからめた友情もので、感想文はかきやすよう。悪ふざけがすぎてナーミンをからかう男の子たちを叱るのではなく、きちんと難民とは何かを説明して反省させる先生の態度などはよいが、ナーミンもあいりも「いい子」すぎて、ちょっとリアルさが薄い。でも、本当にこういうのを読むべきは、子どもじゃなくて、大人や政治家かも。