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耳の聞こえないメジャーリーガー ウィリアム・ホイ(2017 小学校中学年 課題図書)

 

耳の聞こえないメジャーリーガー ウィリアム・ホイ

耳の聞こえないメジャーリーガー ウィリアム・ホイ

 

 1862年に生まれたウィリアムは、子どもの時に病気になったため、耳が聞こえなくなる。素晴らしい野球選手としての資質を持つが、聴覚障害のために靴屋での仕事についた。だが、その才能ゆえにチャンスがめぐってくる。野球チームにスカウトされたのだ。とはいえ、耳が聞こえないことを理由にして契約金を低くされたり、彼をバカにする選手もいた。さらに審判の声が聞こえないため、審判がボール、ストライクのどちらに判断したかがわからずつらい思いもした。だが、審判にジェスチャーをしてもらえばいいと思いつく。放送設備がない当時、審判が大きなジェスチャーで示す動作をすることは、観客にもとても喜ばれた。また、味方同士で、試合中にサインを送りあうアイディアも出した。耳が不自由な彼が工夫したことが、いまだに野球界で便利に使われているというのがうれしい。絵本的な本で、もう少し背景が知りたいと思わされるが、気持ちよく読めるし、感想文は書きやすそう。