児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ダーウィンと旅して

 

ダーウィンと旅して

ダーウィンと旅して

 

 1900年を迎え、まもなく13歳になるキャルパーニア。大好きなおじいちゃんとの研究は続く。気圧計の作り方を教えてもらい観測を始めると、ある日異常な値が! おまけに内陸なのに海鳥が飛んできた。おじいちゃんは大嵐を予感して海辺の街に警告を発し、親戚に電話をかけるが、警告は活かされずに何十年に一度の大嵐がやってきて街は浸水し、キャルパーニアの叔父一家の家も流されてしまった。幸い、家族は全員無事だったが、いとこのアギーが、家の再建まで引っ越してくる。もうすぐ18歳で、ふつうの女性のアギーだが、気持ちを変えるために仕事(学校で小さい子を教える)を勧められると、良家の子女なのに賃金を要求し、その金額まで交渉することに感銘を受ける。「家が流された家族の助けのため」の言葉に、最初驚愕したまわりも納得した。さて、今作の重要な相棒は弟のトラヴィス。生き物が大好きで、つい野生動物を「拾って」きてしまう。とろけるような純な笑顔に、まわりがついつい認めてしまい、キャルパーニアも世話をしてしまう。嵐のせいで移住してきた獣医のウォーカー医師とも出会う。動物付きのトラヴィスは、獣医師になりたいというが血を見ると気分が悪くなる。他方キャルパーニアは、おじいちゃんに指導され、ミミズの解剖から着々と進めていく。女性には学問の道が閉ざされていることに不満なキャルパーニア。だが、アニーの行動から自分でお金を稼ぐという発想、さらにタイプの技術習得をしてウォーカー医師の助手としての実力を着々と進めていく。アニーが稼いだ目的は駆け落ちのためと判明! トラヴィスは、コヨーテと犬の間に生まれ、捨てられた犬を助けることで、ついに満足できるペットを手に入れる。道は険しそうだが、この勝気なキャルパーニアがこの後どうなるかはとても気になる。なお、タイトルの旅は、ダーウィンのビーグル号航海記に寄せた本の世界の旅です。