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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

世界が若かったころ

 

 表題の「世界が」は、二重人格で過去の野性を持っている男の物語。リアルに過去の記憶を持っているが、リアルでないほうが神秘的かも。自分がだまされた分だけを奪って逃亡する「荒野の旅人」。しっかりと頭を使って獣を倒す「キーシュの物語」。マイナス65度という過酷な環境でたき火に失敗して命を落としていく男の「たき火」など、野性的な物語をとても魅力的に描いている。きちんとした物語が語られているため、このシリーズの中でも、中学生が取り付くのには向きそう。