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がれきのなかの小鳥

 

がれきのなかの小鳥

がれきのなかの小鳥

 

 エルスケは、家族と離れ、たった一人で森の家で暮らしている。この家の人はとても親切。そしていろんな人が時々きては、しばらくいていなくなる。実はエルスケはユダヤ人。オランダのこの家族は、彼女を親戚の子だといって守ろうとしてくれているのだ。本当のことは何も言えない。不安のなかでも、時々に知り合った人との交流を心の支えにしながら、鳥たちをみつめ、懸命に生きている。歴史的な背景を知らないと分かりずらい面があるため、短い話だが高学年以上対象かと思われる。何もかもが破壊される中で、大切な思い出を絵で描こうと決意する、エルスケの静かな意思に胸をうつ。