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少年たちの戦場

 

少年たちの戦場 (文学のピースウォーク)

少年たちの戦場 (文学のピースウォーク)

 

 奇兵隊に参加した餅屋の息子幸助の『その名は無敵幸之進』、会津の近く二本松藩の身分の低い藩士の家に生まれたが、兵術を学び、幕軍として戦った小士郎『田上小士郎の戦争』。満蒙開拓青少年義勇団に入り、ソ連と戦うはめになり、逃げる途中で八路軍に拾われ、八路軍で国民党と戦うことになった祥平『コーリャン畑の夕日』、沖縄で通信兵として米軍上陸の中を逃げ惑うことになる義和の『仏桑華咲く島』の4編。奇兵隊というと平民を活用という知識はあったが、その中でもしょせん武士と平民の差があり、戦争が終結した後、武士出身は軍人として残れたが、平民出身は実績にかかわらず一律わずかの金で解雇され、抗議の反乱を起こすが鎮圧され殺された歴史があったとは初めて知った。4編のうち3編で主人公が死んでいる。八路軍編入や、沖縄の家庭が、日本軍に家を追い出されていく様子などふつうあまり語られない視点から物語が展開されており、子どもたちによんでもらう意味があると感じた。