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あたしのクオレ下

 

あたしのクオレ(下) (岩波少年文庫)

あたしのクオレ(下) (岩波少年文庫)

 

 エリザは、家族がスフォルツァ先生に怒鳴り込んでくれることを期待して、次々に悪いことをして怒って体罰をされるようにしようとするがさっぱりうまくいかない。むしろ、助けたいと思っていたイオランダやアデライデがエリザに悪影響を与えたとして代わりに処罰されて落ち込む。スフォルツァ先生は、とび級指導で親たちの支持をますます厚くする。数学が苦手なプリスカは、家庭教師に習うことになるが、そこでチャーミングで快活なオンディーナ先生と出会えて、すっかりご機嫌になった。 いろいろな事件のなかで、3人組は、亀のディノザウラがアイスクリームを食べると、すぐに便をだすことを利用して先生に最後の対決を仕掛ける! ある意味、親の権威にたよることしかできず、空回りしてしまう3人組だが、大人たちの決めつけるルールになんとか抗って公平にしたいと願う姿は、切々と子どもたちの共感を誘うものがあると思う。間に挟まれるプリスカの物語が、後半もとても効果的で楽しい。