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大人に贈る子どもの文学

 

大人に贈る子どもの文学

大人に贈る子どもの文学

 

猪熊葉子氏が、自分の生い立ちや児童文学に関わってきた来た軌跡を交え、大人もまた児童文学から貴重な宝を得ることを語るように示してくれた本。一番びっくりしたのは、てっきり英文学を専攻していただいたのかとおもいきや、大学で歴史、大学院で国文、しかし児童文学にこだわったところ、日本の児童文学論がなかったため、イギリスでトールキン氏に師事したという経緯だった。また母親である歌人葛原妙子とのぎくしゃくした親子関係、児童文学が文学として認められなかったための苦労など、意外な素顔がわかる。児童文学の紹介については、基本図書が中心だが、一般の方はほとんど知らない作品をメインとして、古典のケストナーや『秘密の花園』などを入れてある。これから児童文学をよんでみようかという方にはちょうどいい入門書。