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僕には世界がふたつある

 

僕には世界がふたつある

僕には世界がふたつある

 

 主人公ケイダンは15歳。家では両親と妹と暮らし、学校では親友もいる。でも、学校にはケイダンを殺そうとする子がいる、マークシートのテストを塗ると、不思議な星座が現れる。そしてケイダンは船に乗る。片目の船長と、片目のオウムが、ケイダンに指示を出す。同室の航海士は様々な地図を描いている。マストの上のカラスの巣では、バーがあって、みんないかしたカクテルを飲んでいる。船首には美しい像カリオペが取り付けられていて、ケイダンは友人になった。学校な家庭と、航海、無関係のように重なる二つの世界の関係が徐々に見えてくる構成が、とても魅力的。船の掃除をしているカーライルが、ケイダンにとって希望の星となる。たった一人の力で、世界で一番深い海峡の底にたどり着き、そこから戻る方法を見つけるクライマックスは、なんとも圧巻。精神病の主人公の内面世界を描いた異色作だが、安易なハッピーエンドではないが、とても希望にみちていて魅力的。