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ひまなこなべ

 

 アイヌの昔話。熊の神が人間の世界に降りたとき、人間の家で宴会でもてなされている折、踊りが上手な神がいるのを見つけた。だが、なんの神かわからない。そこで熊は、何度も人間の世界に行ってその家の者に打たれる。そしてついに小さな鍋(こなべ)の神であることに気付く。その家の家族は、心がけがよく、小鍋を大切にしてくれた。大勢の宴会の時に、小鍋は不要で暇なので、人間の姿になってみんなに紛れて立派に踊っていたのだ。小鍋を大切にした家族の心がけが、熊をもたらしたというラストはほほえましい。