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ファニー 13歳の指揮官

 

ファニー 13歳の指揮官

ファニー 13歳の指揮官

 

実話を基にしたも物語。三姉妹の長女ファニーは、しっかりもので妹たちの面倒をみる習慣が身についていた。ユダヤ人でフランスに逃げるが、ナチがフランスにやってくる。父は嫌味な隣人の密告のせいでつかまり、母も間もなく逮捕させるが、ファニーは決死の覚悟で刑務所の門番に訴える「どうしてドイツ人のごきげんとりをするの? フランス人のくせに! もしあなたが子どもで、お母さんが牢屋に入れられていたら、どうする?絶対あいに行くでしょう?」幸運にも、この言葉に心を動かされた門番のおかげで、母親は釈放される。だが、結局親子は別れ、子どもたちは子どもの施設に隠された。ファニーはそこでも妹たちを守り、みんなに頼りにされる存在となる。さらに密かにレジスタンスの連絡係さえしてのけた!だが、そこも密告されスイスに逃れることになる。ところが途中の駅でナチスが多くいるのを見た17歳のリーダーがパニックを起こして子どもたちを放置して逃げだしてしまう。ファニーが12人のリーダーとなりスイスに向かうこととなった。落ち着いて、小さい子に不安を与えないようにふるまいながら、瞬時に決断して難局を乗り越えていくファニーの姿は魅力的。それはスーパースターではなく緊張しながらの必死の姿でもある。一度はナチの手におちながらのチャンスをつかんで逃亡し、ついにスイスにたどり着く。最後に、実際の人物のその後があるが、ファニーの両親も、逃亡を助けてくれたサロン夫人など多くが殺されてしまったと知ると恐ろしい。