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お船がかえる日 チョプラン漂流記

 

チョプラン漂流記 お船がかえる日

チョプラン漂流記 お船がかえる日

 

 江戸時代に、大シケのため函館から台湾のチョプランまで漂流することになり、たどり着いた地で暮らしたのち8年後にやっと帰国した実話をもとにした物語。市松という8歳の頭のいい男の子を主人公に、大人たちが慣れない暮らしに順応できずに次々に命を落とす中で、船長の文助と市松だけがなんとか生き延びた。台湾の中でもはずれのチョプランに商人がやってきて、文助が刀を売ったことが縁となり、無事に帰国の道が拓ける。当時の台湾の漁村の風俗や、市松がそこで育んだ友情などが素直に描かれている。シリーズ3作の中では、個人的にはこの作品が好き。