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クオレ 下

 

クオレ―愛の学校 (下) (岩波少年文庫 (2009))

クオレ―愛の学校 (下) (岩波少年文庫 (2009))

 

下巻を見ると、死の影が濃い。下級生の男の子の死、女の先生の死。エンリーコ自身も重病になる。夜間中学や聾学校の問題も取り上げているが、時代の制約もあってか、聾学校口話法が父親に希望を与えている(今なら手話でも受け入れられるだろうに)だが、この時代に、そもそもこうしたテーマまで目配りしていることを評価したい。毎月のお話には有名な「母をたずねて三千里」もあるが、それ以外のお話も魅力。最後はエンリーコが思いがけず転校となる寂しさ、どことなく無常感も漂い、やはりインパクトがある作品。