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魔法のうわぎ

 

魔法のうわぎ (子ども図書館)

魔法のうわぎ (子ども図書館)

 

 路上で絵を描く少年の元に、一人の提督がやってきた。提督は、少年に朝食をご馳走して包みと一つの物語を渡す。物語は、提督自身が子どもだったころ、はにかみ屋で父親から不満に思われるある日、偶然魔法のうわぎを手に入れて、そのうわぎを着ることで、自信を持って大胆な行動をとることができるようになり、自分の船乗りになる夢をかなえたというものだった。そして、少年の絵に心惹かれたが、そのどこか気弱な様子をみた提督は、少年にうわぎをゆずるというものだった。この魔法のうわぎが、浮き出るようなワニが彫られたボタンがついているという具体的な描写のおかげで、抽象的なのに、とてもリアルに感じられるところが良い。読んでいるうちに、自分がそのうわぎを着たら、とわくわくしてくる。