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がむしゃら落語

 

がむしゃら落語 (福音館創作童話シリーズ)

がむしゃら落語 (福音館創作童話シリーズ)

 

 小学校5年の岡本雄馬はまじめな委員長だ。ある日ちょっかいをかけてきたいやみな3人組から助けてくれたのは、落語家だという変なお兄さん三福亭笑八。それで終わりのはずだったのに、雄馬に嫌がらせをたくらんだ三人組のせいで、特技発表会で落語を発表するようにハメられてしまう。しっかり者の女の子早川さんに連れられ、笑八の師匠笑蔵に落語を教えてほしいと頼みに行くと、師匠は笑八に雄馬を教えるように命じてくれた(借金のと引き換えで)。何を語るか悩んだ末に、化け物使いを選んだけれど、笑八の指導はいいかげん。ガオーっと大声を出せとか、化け物使いごっこだといって部屋の片づけをさせたりすばかりで、きちんと教えてくれたのはおじぎくらいのもの。おまけに笑八は、同門の納豆が、アニメ落語で自分より先に昇進するのが悔しくてたらない。納豆の落語を見に行ったことですねてしまう。いったいどんな落語をすればいいのか、迷った末の雄馬の見つけた答えとは? 本番の思いがけないハプニングと、そこからのあざやかなどんでん返しがゆかい。楽しく読める。