児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

一方通行

 

一方通行

一方通行

  • 作者: クラウスコルドン,いよりあきこ,Klaus Kordon,松沢あさか
  • 出版社/メーカー: さえら書房
  • 発売日: 2001/04
  • メディア: 単行本
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 ドイツの9年生(中学3年)のぼくことチャーリーの夏の体験、それは一人の女の子の転校からはじまる。美しいが無表情のインガ。小さい頃から仲がいい、ぼくとヘルベルトとアンディの3人組の関係は、インガの存在で変わりだす。あっという間にアンディがインガと仲良くなり、他の二人を無視しはじめたのだ。もともと数学と化学が落第スレスレで、優秀なヘルベルトを囲んでやっていた勉強会からもぬけ、落第点をとってしまう。そしてその時、インガの秘密に気付く。インガは薬物中毒だったのだ。インガを救おうとアンディは必死で、二人はついに一緒に家出をしてしまう。懸命に行方を探すうちに偶然見つけたぼくは、二人が麻薬中毒者のたまり場に入り込んでいるところに一緒に入り込み、なんとか連れ出そうと試みる。薬物を買う金のために薬や売春を繰り返すメンバーたち。警察の手入れから逃れる中で、なんとかアンディを救うがインガは消えてしまい、その後、薬物中毒で死んだことを知る。チャーリーが漠然と感じている親子のみぞ、学校のOBで学校の周りをうろつきながら売人をやっているアリをちょっとカッコよく思って告発できない感じなどその年代の感じ方で描写している。チャーリーは、結局アンディを取り戻し、父親との関係も修復できるが、そううまくいかない子たちも多いだろうということがおそろしい。