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青い月の石

 

青い月の石 (岩波少年文庫)

青い月の石 (岩波少年文庫)

 

10歳の男の子ヨーストはおばあちゃんと二人暮らし、もっと小さい頃は星を手に入れたり鳥に乗って月に飛んでいくなど不思議な冒険をしていたが、今はそんなのはウソだとバカにされている。かつて仲良しだったヤンにもだ。フリーチャは親切だが、一つ下の女の子だからクラスではつらい。ある日フリーチャたちが校庭ででマホッヘルチェ(地下の王の名前、花いちもんめのような遊び)遊びをしていると、本当に地面の下からマホッヘルチャが現れる。ヨーストとヤンが思わず後を追うと、青い月の石が欲しければ足跡を追ってこいと言って消えてしまった。その直後、二人はマホッヘルチェの後を追う王子と出会い、ヨーストのおばあちゃんや魔法使いオルムの助けを借りて、地下の世界に向かう。マホッヘルチェの娘で美しいヒヤシンタ姫と王子の恋。地下の王からの課題と、姫の密かな援助。逃亡と、追ってを交わす魔法、逃げ切ったと思った直後のすべてを忘れさせる呪いなど、ドキドキハラハラの連続。「三枚のおふだ」や「みつけどり」など、いろいろな昔話のモチーフをうまく取り入れた感じも良い。この物語は、オランダの読書教材『青い石』の6~8話までをまとめたものとのことだが、1~5話の星を手に入れた話なども読んでみたいと思った。