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奮闘するたすく(2018 課題図書 小学校高学年)

 

奮闘するたすく

奮闘するたすく

 

 5年生の佑(たすく)は、たまたま祖父がデイサービスを利用したことをきっかけに、同級生の一平と一緒に夏休みの宿題としてデイサービスの施設について、ぜひレポートをまとめるように言われ、いやいやながらおじいちゃんと共にデイサービスの施設に行くことになり、そこでいろいろ経験する物語。まるで街角でパンをくわえたヒロインが男の子とぶつかるような都合のいいスタートで、内容もさまざまなお年寄りとの出会い、認知症になっていくおじいちゃんとのかかわり、明るいインドネシアから来た研修生の元気なリニさんなど、長編だが読解力がなくても理解しやすい。実際に身近に認知症の祖父母(今だったら曾祖父母)がいる子どもが見ると、自分の認知症を認められないおじいちゃんの姿などは、かなりソフトに描いてあると感じるのではないだろうか。そのソフトさが、読みやすさの要因になっているが、同時に物足りない気がする。感想文を書くとしたら、このムードにそって書きやすくもあるけれど、あえてこの予定調和に挑戦すると大変になりそうです。