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森のおくから(2018 課題図書 小学校中学年)

 

森のおくから―むかし、カナダであったほんとうのはなし

森のおくから―むかし、カナダであったほんとうのはなし

 

  著者が祖父から聞いた、祖父アントニオの子供時代の物語。祖父の家は、森の中の湖のそばのホテルだった。3階は大部屋で、猟師や木こりなどが泊まり、2階は個室で旅行客が泊まりまっていました。近くの森には動物たちがいた形跡はあるものの、もっと安全な森の奥で住んでいるので姿をみることができず残念に思っていました。そんなある日、森が火事になります。アノトニオも家族もお客も、みんな逃げて湖に入りました。火が徐々に激しく近づいてくると、森中の動物たちも湖に逃げてきたのです。ヘラジカもオオカミも、キツネもウサギも、触れられるほど近くにやってきて互いにじっとしています。火が消えて、動物たちはまた森へと帰っていきましたが、アントニオは、生涯その不思議な体験を忘れませんでした。素朴な物語だが、おじいちゃんからじかにお話をきいているような雰囲気がよい。