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イチからつくるワタの糸と布

 

ワタの糸と布 (イチからつくるシリーズ)

ワタの糸と布 (イチからつくるシリーズ)

 

 1973年生まれの著者は、20代でイチからの布づくり(ワタを育て、糸につむぎ、草木で染め、布に織る)に出会った。
身近な道具で、その過程を体験できる方法を解説しながら、綿花と奴隷制の歴史や、ガンディーが糸つむぎを非暴力・不服従の象徴として独立運動をすすめたこと、現在も続く不平等な労働賃金に支えられる安価な衣服の大量生産・大量消費まで記述する。

ワタの栽培については端的に説明し、ワタの毛を糸、布にする工程の方を豊富な写真とイラストで詳しく解説するが、私のように手仕事に慣れていない者にとっては、これだけの道具をそろえて時間をかけて・・・と思うとハードルが高いなと思ったら。あとがきにちゃんと、ひとりでやらなくていい、布づくり仲間をつくりましょうと書いてありました。

ワタを通して、自立した生活と共生社会を考えさせ、高校の家庭科で扱うくらいの深い内容は、大人もぜひ知っておきたいところです。