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ちいさなりょうしタギカーク

 

ちいさなりょうしタギカーク―アジア・エスキモーの昔話 (こどものとも世界昔ばなしの旅)

ちいさなりょうしタギカーク―アジア・エスキモーの昔話 (こどものとも世界昔ばなしの旅)

 

 魚の図鑑しか見ない(読むのではなく・・・)という3年生の男の子に何かおすすめをと相談され紹介したところ、その母親と下の男の子4歳も一緒にどハマリしたという絵本です。
お母さんと2人暮らしの男の子タギカークは、漁師だったお父さんを自分が生まれる少し前に海の嵐で亡くしました。お父さんと同じ名前をもらったタギカークは、あるとき岩場で足を滑らせ海へ転落してしまいますが、その海の底で、亡くなったはずの父親に会い、漁に使うもりをもらいます。タギカークはそのもりを持って漁師たちのところへ行き、海に連れて行ってくれと頼みますが、相手にしてもらえません。たった1人、古いぼろ船に乗ったおじいさんだけが、タギカークを受け入れてくれました。
弱く小さい者が幸せを手にするという昔話の王道の中に、大人の変わり身のずるさや、老人と少年の絆など深く考えさせる要素が含まれ、子ども大人も満足できます。集団への読み聞かせでも、4歳くらいから楽しめます。