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無人島の冒険

 

無人島の冒険

無人島の冒険

 

 ハリーは14歳。父親の勧めで、3歳の時に養子でもらわれてきた9歳の弟スクープと湾のすぐ近くにある小さな無人島で二人だけの1泊キャンプに出かけた。内心、弟の世話なんかめんどくさいと思いつつ、それなりに楽しく過ごす。火は使っちゃいけないといわれたが、こっそり持ってきたマッチで小さなたき火を作ってマシュマロを焼いて二人で食べた。ところが、たき火の始末を終わり、一本の火のついた枝をなにげなく海に投げたところ、突然海が火で爆発する。流出した重油が海に流れていたのだ。小さな島は火に取り囲まれ、まもなく木々も燃え始めた。ハリーは弟を連れて必死に逃げる。寝袋を濡らして体に巻き、島で唯一木がない崖をめざすことになるのだが、崖には隠れられる小さな穴が一人分しかない! 極限の中でハリーに生まれる弟への責任感、火事に気付き、なんとか助けようとする人々などテンポよくドラマが進み読みやすい。1984年に『ほのおの無人島』として出されたものの新訳だが、旧題の方が内容を表しているといえるかも。