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正義の声は消えない 反ナチス・白バラ抵抗運動の学生たち

 

 ナチスに抵抗した学生たちグループ「白バラ」ハンスとゾフィーの兄妹を中心に、その軌跡を追うもの。ハンスが最初はヒトラーユーゲントで熱心に活動していたのに、行き詰っていくようすなどは良いが、傑出した存在だけに読者は「自分はこんなことができるだろうか?」という気になりそう。ビラを配っただけでギロチン刑にかけられるという極端な時代の中で、自分の中の弱さとどう折り合いをつけて抵抗運動を行っていったのかの書き込みがもう少しあったら、自分だったら何ができるか、という部分に踏み込めたのではないかと思った。こういう偉い人がいたんだ、すごいね、で終わらない読み方をしたい。