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震度7ー新潟県中越地震を忘れない

 

震度7―新潟県中越地震を忘れない

震度7―新潟県中越地震を忘れない

 

 科学絵本に著書の多い松岡達英氏が被災した、新潟県中越地震
2004年10月23日午後5時56分、地震が発生したとき松岡氏は、震度7を記録した川口町のアトリエにいた。投薬の必要な息子のために、鎌倉の自宅へ戻るまでの4日間の必死の行動もすさまじいが、地震から1か月後、アトリエのあった木沢地区の人々を訪ねて聞いた話が生々しく、胸に迫る。地震のドーーーンという音に「ミサイルがとんできたのかと思った」という68歳の女性。86歳のおじいちゃんは、「戦争を経験し、大正、昭和、平成と3つの時代を生きぬいてきた」なかでも「はじめて経験する恐怖だった」。地震にあったその日の記憶を失った56歳の女性は、避難所へ来た精神科医に「思い出さなくてもいいんだよ」と言われ、心がすーっと軽くなったそうだ。
一方、「あの日は異常なほど、星がきれいだった」という言葉や、陸の孤島となった木沢地区で住民が力を合わせ道路を修復し3日めの夜には開通させたという話には、悠々とした自然、人間の強さに心打たれる。
巻末には、危機管理対策アドバイザーとして各地で活動する国崎信江氏による、自分の身を自分で守るための「地震マニュアル」が子ども向けにまとめられている。普段の備え、地震が起きたら、地震後の暮らし、被災者支援について、家族でぜひ確認しておきたい。