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つぐみ通りのトーベ

 

つぐみ通りのトーベ

つぐみ通りのトーベ

 

 トーベは、小学校2年の女の子。最近、仲良しだったエンマがあまり仲良くしてくれないのが気がかりです。家では、まだ赤ちゃんぽい妹ちいちゃんと、やさしいパパとママがいます。エンマの誕生日、トーベはみんなのようにかわいい服を着ていかなかったこと、プレゼントが気に行ってもらえなかったことでくよくよし、ちょっとした失敗にいたたまれなくなってエンマの家を飛び出してしまいました。でも、パパが迎えに来てくれるのは1時間も先。一人でバスで帰ろうとしたのに、バスは知らないところにトーベを運んでいきます。怖くなってバスを飛び降り、高いところから家を探そうと木に登ったら降りられなくなってしまいました。どんどんめんどうに巻き込まれて落ち込むトーベの気持ちは、実際子どもたちが共感できるような姿だ。だが、高い木に登ったトーベを感心して助けが来るまで下から見ていてくれる男の子や、やさしい消防士さんのおかげでトーベは少しづつ自信をとりもどしていく。エンマをいばりやだ、というクラスの他の女の子の声に驚いたりしながら、トーベはエンマにふりまわされるだけではない自分を見つけていく。

スウェーデンの児童文学だが、普通に家事や育児を助け合っている両親や、トーベを助け降ろすのではなく、サポートしながら自分で降りるように仕向けてくれる消防士さんなど、周りの大人の様子も魅力。