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ひとりじゃないよ、ぼくがいる

 

ひとりじゃないよ、ぼくがいる (世界傑作童話シリーズ)

ひとりじゃないよ、ぼくがいる (世界傑作童話シリーズ)

 

突然やってきたいとこだという変な男の子は、キーランのおもちゃで勝手に遊んでいた。むっとして怒ると母さんは貸してあげなさいという。だけど、その子ボンのお母さんは突然ボンの顔をねじ上げてどなりつけた! そんな出会いの2年後、ボンはおばあちゃんに引き取られることになるが、汚い服を着て髪を伸ばした変な男の子ボンは、みんなのいじめのかっこうのターゲットになり、キーランも自分が仲間外れになりたくないために加担してしまう。だが、ボンと同時に転校してきた魅力的な女の子ジュリアはボンをかばい。ジュリアに惹かれる中で、キーランも徐々にボンへの見方を変えていく。両親に大切にされて素直に大きくなったキーランが、突然の闖入者としてのボンにとまどいながら受け入れていく物語だが、片親で育児放棄された状態で育ってきたボンの心の動き、例えば髪の毛を切らないでいる理由や、いじめに加担していたそれぞれの男の子の思いももう少し描かれるとよかったように思う。ちょっと感傷的なタイトルとも思うが、この方が売れるのだろうか?