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しでんとたまご

 

しでんとたまご (特製版)

しでんとたまご (特製版)

 

 じろうが朝早く野原を散歩していると、森から1台の市電がやってきた。「のるかい?」とじろうを誘い走り出す市電。月の光をエネルギーにして走ってゆく。日がのぼり始め、じろうが降りようとしたとき、座席に1つのたまごを見つける。巣に戻してやろうと森じゅうの鳥の巣を探すが、同じたまごは見つからない。日が暮れかけてしまい帰ろうとすると、突然の稲光とともに雷の音がひびく。ほら穴にかくれたじろうは、いつのまにか眠ってしまい夢を見る。市電が虹をのぼって星空へ消えていくのだ。目を覚ましたじろうが森を出ると、野原に焼けこげた市電が。雷に打たれてしまったらしい。悲しむじろうのポケットで何かが動いた。たまごから出てきたのは、ワニの赤ちゃんだった。
木目を生かした挿絵は、元大工の版画家によるもの。宮沢賢治の童話絵本も手がけており、どこか賢治ワールドを感じる。