児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

みんなでつくる1本の辞書

 

 目からうろこが落ちまくりでおもしろい!日本語の数え方を研究している著者が、あるとき留学生に「なぜ電車も、柔道の勝負も『1本』と数えるの?」と聞かれたことから、助数詞の「本」について、その確かな説明を求めて調べていく。
まずは辞書にある定義「棒のような形をした長いものを数えることば」の具体的なイメージを探るため、どんな形をしたものを「本」と数えるか、学生たちへ質問。さらに、武道家や家具屋、電気屋さんなどいくつかの立場の人へもインタビュー。電車を「1本」「1台」と使い分けている駅員さんの説明には、普段あまり意識せず駅のアナウンスを聞き流していたので、今度耳をすませてみたいと思った。歴史的にも、「本」が使われるようになった始まりを、奈良時代、『古事記』や『万葉集』からひも解いていく。最終的に、日本人は「本」の使い方について共通のイメージを持ってはいるものの、使う人の立場・考え方や、そのもの・ことをどのように捉えているか、時代によっても変わることがわかる。「本」と数えるものやことを列挙したイラストがユーモラスで楽しい。巻末に索引があり、その数は364もある!
身近な問いから課題を見つけ、まず定義を確認してから、アンケートやインタビュー、文献等で調査していく。調べ方やレポートの書き方の参考にもなりそうだ。