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邪馬台戦記 Ⅰ闇の牛王

 

邪馬台戦記 闇の牛王

邪馬台戦記 闇の牛王

 

佐竹美保氏の表紙絵と邪馬台国に惹かれて読んでみたが、残念ながらがっかり。牛王でわかるように、ギリシア神話ミノタウロスを連想させる物語があり、作者は意図的に行っているようだが、ギリシア神話のような背景(ミノタウロスの誕生、迷宮の製作、英雄テーセウスなど)なしに使っているので、底が浅くなってしまっている。そして中国から倭に来る公達という一行の物語とからめているが、ちょっとご都合主義的にとんとんとたどり着き、からめる必然性が感じられない。卑弥呼やツテナが実際に不思議な力を使わせながら、当時は麻薬の力で幻覚を見せていたと解説する作者は何をしたいのだろう? 登場人物たちの感覚が今風で、古代人が当時どういう世界観を持っていたかを古代人の立場で描いているようにも見えない。テーセウスの冒険と違って、牛王もけっこう手軽に倒せるし、ドキドキハラハラがないので、何とか1はよみましたが、もういいです・・・。