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西の魔女が死んだ

 

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

 

 まいは、突然登校拒否になり祖母のもとに行く。英国人で自然と共に暮らす祖母のもとで規則正しく暮らすうちに、まいはすこしづつ心身の健康を取り戻していく。隣家の男への嫌悪、死への恐怖などの感情を乗り越え、最終的には父母のもとに戻り、転校して安定した生活をスタートさせる。
まいの心のゆれや細々とした描写はしっかりしているが、祖母が英国人という設定(しかも夫が死んだ後、日本の田舎で暮らしている)、帰宅後2年も会わないなど、自分のイメージのためにちょっと不自然な設定をしているようにも感じる。梨木さん自身が(そして今の私たちは)日本の田舎より、英国の児童文学を糧に成長したことの反映かも。