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キリンの運びかた、教えます 電車と病院も!?

 

キリンの運びかた、教えます 電車と病院も!?

キリンの運びかた、教えます 電車と病院も!?

 

 盛岡市動物園から上野動物園へのキリンの移送、日本からイギリスに向けての鉄道車両の移送、こども病院丸ごとの引っ越しというユニークな題材を扱っている。とても面白そうなテーマで、語り口も優し気だが、正直言って読みにくかった。例えばキリンの引っ越しを担当するのはP35でライノという会社の竹内だ、とあるがP45で竹内が獣医師の資格を持っているとある。ここで正直、ええ~獣医師の資格があるのにドライバー!? ふだんは獣医師の仕事もしてるの?と興味をもったが全然そういうこと(客観的な事実)は触れられていなくて「だれかと競争をするのではない。だれも見ていないけれど、自分にうそをつかずに、やるべきことをきちんとやる」みたいなまとめの言葉はきっちり書いてある。できたら事実から、そうした竹内の姿勢を伝えた方がいいのではないだろうか? こども病院の引っ越しでも、医師がいろいろな手配や患者のことで手いっぱいで、直前まで自分の荷物がまとめられない様子が描かれている。こういうのアルアルだなぁと思って読んでいたが、結局それを最後どうしたのか書いてない! 結局直前でバタバタ片付けたんだろうか? 自分の荷物といっても治療に関連する情報とかあると思うのだが大丈夫だったのか? などこちらもスッキリしない。自分の事は後回し?それ美徳?それで診療OK?実際はなにか工夫したのでは? などなど、単に私の気になることが他の読者とズレているのかもしれないけど。実際に取材していると感動することが多いだろうが、本にする際はそれをまとめるためにネタを切らなければならない。ネタ(事実)をきったのに、感動部分だけは盛り込みたいという文章になったのでは? こういうHOW TOノンフィクションは、いっそ物語仕立てでない方が私には向くのかもしれない。