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風がはこんだ物語

 

風がはこんだ物語

風がはこんだ物語

 

 寓話のような雰囲気の物語。ボートに乗った一団体の中に一人の少年ラミがいる。エンジンがとまり、海図もオールもない船内で先は見えない。ラミが抱えているのはバイオリン。みんなにせがまれて、ラミはバイオリンを奏でながらモンゴルに伝わる一頭の白い馬と少年の物語を語り始める。乗り合わせたメンバーは、自分たちの境遇をこの物語に重ねながら、この物語を忘れずに未来に伝えていこうという希望を抱いていく。そう、この物語は『スーホの白い馬』 

スーホの白い馬 (日本傑作絵本シリーズ)

スーホの白い馬 (日本傑作絵本シリーズ)

 

 ただ、この物語の中では悪者は王ではなく地主となり、地主は馬頭琴の音から逃れて行方がわからなくなったことになっている。リアルというより、イメージの世界なので難民問題を感情で訴えた作品といえるだろう。