正確な地図さえ存在しない1950年。まだ人間がのぼったことのない8000m級の山を征服しようとエルゾーク隊は出発した。モンスーン襲来前に、懸命にルートを探し、ヨーロッパの山々とはケタが違うヒマラヤに圧倒されながら進んでいく。ついに登頂に成功するものの下りに向けての過酷な道のりでエルゾークは凍傷に侵される。すさまじい痛みを伴う動脈注射による治療に耐えるが、手足の指は切断せざるを得なくなる。指を失う恐怖、その一番の悲しみは「山をのぼれなくなる」ことである。山への愛、得たもの、失ったもの、そして何よりもそのチャレンジ精神に心を揺さぶられる。