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シアワセなお金の使い方ーー新しい家庭科勉強法2

 

大阪府立高校の男性家庭科教師による第2弾。前作『正しいパンツのたたみ方―新しい家庭科勉強法』同様に、ツカミが上手くて引きこまれた。「私の大切なもの」「六億円の宝くじに当たったら」といったワークを、大人を対象に行った結果など、おもしろい。”お金”というテーマに限られているため、全般的には少々難しい内容に感じたが、1970年代の電通による物を買わせるCMづくり「戦略十訓」や、東日本大震災後に広まり始めた「受援力」という言葉―災害ボランティアなどの支援に対して、困ったときは遠慮なく手を挙げられる世の中にということ。実は2010年に内閣府が啓蒙パンフレットを作成していた―などが、印象に残った。また、ワークライフバランスの「ワーク」とは、有償無償にかかわらず他人に役に立つことをしている時間、「ライフ」とは自分のためだけに使う時間、という解釈に、ボランティア活動もれっきとしたワークだと、すっきり納得できた。さらに、「買い物は投票行動」で、モノを買うことが個人的な行為から「社会的な」行動になるということ、たとえば地元のお店で買うことで地域を支えるなど、が発見。高校の家庭科でも、なかなか時間を割くことのできない分野の話だそうで、すでに世の中に出ている大人たちも、ぜひ学びたいところです。