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ルドルフとイッパイアッテナ

 

ルドルフとイッパイアッテナ

ルドルフとイッパイアッテナ

 

 1987年刊の斉藤洋氏のデビュー作だが、未だに良く読まれている。物語はクロネコの飼い猫ルドルフが、魚屋からシシャモを盗んで追われ、トラックの荷台に飛び乗ったことから始まる。気づいた時には、見知らぬ街に着いていて、しかもトラックから飛び降りたとたん、デカいネコにシシャモを巻き上げられる。くやしくて「ほしけりゃくれてやる。いやだっていったって力ずくでもっていくきだろう」と啖呵をきったのが気にいられ、そのデカいねこがノラネコの先輩としてルドルフのめんどうを見てくれるようになる。名前を聞くと「イッパイアッテナ」と答えた。実はノラネコとしていろいろな名前を付けられていたことを言ったのだが、ルドルフはそれが名前だと思ってしまった。強いだけでなく字も読めるイッパイアッテナのおかげで、ルドルフも字を覚える。そして故郷の街が岐阜であることや、そこへの行き方も調べたが、いざ出発の直前の事件で、ルドルフは大きな決断をする! 物語の魅力は、テンポの良さ、友情、そしてルドルフの成長だろう。気持ちよく心に残るものが読みたい子におすすめ。