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さよなら、おばけ団地

 

さよなら、おばけ団地 (福音館創作童話シリーズ)

さよなら、おばけ団地 (福音館創作童話シリーズ)

 

 桜が谷団地ができたのは六十ほど前。古くなって取り壊しが決まっています。だから住民もどんどん減っています。旧団地はもう無人で、おばけ団地とよばれています。そんな団地を舞台にした不思議な物語の連作短編。おばけという言葉で「学校の怪談」みたいなものをイメージして手にとった子は、いい意味で裏切られると思う。例えば学校の怪談風のうわさが実はとても明るい物語であることが明かされていき、しかも団地建設以前からの不思議な存在が活躍するようすが楽しい。いわば、あまんきみこさんの「車の色は空の色」のような雰囲気のおはなし。ただ、旧団地は60年、新団地は40年ほどなのに作り直しという設定はちょっとびっくり。私が住んでいる団地は築37年ですが、まもなく大規模修繕を行う予定。新団地位は大規模修繕でもう少し使ってもらいたいと余計なことを考えてしまいました。