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三月ひなのつき

 

三月ひなのつき (福音館創作童話シリーズ)

三月ひなのつき (福音館創作童話シリーズ)

 

よし子はおひなさまが欲しくてたまらない。だが、お母さんは子どものころ自分が大切にしていた素晴らしいおひなさまのことが忘れられない。戦争で焼けてしまったそのおひなさまと比べると、今のおひなさまを買う気持ちになれないというのだ。でも、よし子はお母さんがそんな話をすればするほど、自分だって自分のおひなさまが欲しいという思いに駆られる。ついにお母さんが一緒におひなさまを買いにいってくれたが、その真剣なようすを見て、よし子のために最高のおひなさまを探そうとしていることが心から納得できた。その日は見つからなかったが、3月3日家に帰ると、美しく精巧な折り紙のおひなさまを見つける。理想のおひなさまが見つかるまで、とお母さんが心を込めて折ってくれたのだ。おひなさまを通して、本当に美しく大切なものに出会ってほしいというお母さんの思いが伝わってくる物語。