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フェルムはまほうつかい

 

フェルムはまほうつかい

フェルムはまほうつかい

 

 宮城県気仙沼でカキ・ホタテ養殖業を営む畠山重篤さんによる『鉄は魔法つかい』*を絵本化したもの。タイトルは、ラテン語からとったというフェルムではなく「鉄」のままの方がよかった気がする。
地球の重さの3分の1は鉄なのだという導入から、植物の光合成に欠かせない鉄、人体の赤血球の中にある鉄、海の中でも海草や植物プランクトン光合成をしているので鉄が役立っている・・・ということを「鉄のまほう」として紹介していく。絵本の形にしても光合成や赤血球が酸素や二酸化炭素を運ぶ仕組みは、高学年以上でないと理解が難しいので、どうせなら原作の方をすすめたい。畠山さんが「鉄」と聞けばどんな分野にも興味を持って学んでいくことから地球規模の「鉄」のすごさがびしびし伝わってくるし、宮沢賢治や『赤毛のアン』を話題にするなどの幅広さもおもしろく読める。

*当ブログにて2014年1月1日紹介しています。