児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

メキシコへわたしをさがして

 

 

メキシコへ わたしをさがして

メキシコへ わたしをさがして

 

 ナオミは、弟と共にひいおばあちゃんと一緒にトレーラーハウスで暮らしている。弟は優秀だが、体が不自由で一見してはそう見えないためにみんなからしばしばいじめられている。ひいおばあちゃんは裕福ではないが、優しく暖かい。ナオミたちの母親は性格が激しく、メキシコ人の父親とすぐに恋に落ちたが夫が漁に出る暮らしに嫌気がさして子を連れて離婚。その子をひいおばあちゃんにあずけて長年どこかに消えてしまった。育児放棄の跡が見られる二人をひいおばあちゃんが慈しんで懸命に育ててきた。ところが突然母が帰ってきた。美しく、華やかで、オシャレな服を買ってくれナオミに一緒に住もうという。だが、聞いていくと新しい彼氏クライヴの入知恵でどうやら養育費が目当てらしい。おまけにハンディのあるオーウェンを引き取る気はない。だがひいおばあちゃんは高齢で、母親から親権を請求されたら、もう弟やひいおばあちゃんから引き離されてしまうかもしれない。ひいおばあちゃんは、唯一の希望として二人の父親を訪ねることにした。父親は定期的に送金してくれるが、漁で海に出ていることが多く住所を書いてこない。彫刻の腕があるお父さんが毎年必ずくるというオアハカの祭の彫刻コンテストに向かう。果たしてお父さんをさがしだせるのか? 常に小さな声しか出せないナオミと体にテープを貼らないではいられないオーウェンという幼児期の傷を抱えた二人がこの事態を乗り越えられるのか? 思わずドキドキしながら二人を見守ってしまいます。現在だと、こうした問題は日本でもありそう。